日本のものつくりを支える集団


The Group of The Japanese Craftsmen


2018.10.19

マイクロバスを一台を貸切っての工場見学ツアーを、技の会のメンバー9名と、今回のツアーの訪問先などをコーディネートしてくださった、(株)都市計画同人の藤井様とともに行ないました。



まずはじめに訪問しましたのは、葛飾区東墨田にあります、(有)サトウ化成 様です。
前半は、昔からの生業であるウレタンやスポンジ、ゴムなどの「打ち抜き加工」の工程を見学させていただきました。




我々技の会メンバーは、普段金属を扱っている者が多く、それよりも圧倒的にやわらかいウレタンやスポンジをどのように加工するのか、大変興味深く説明を聞かさせていただきました。
現場でも、型(木の板に鋼がはまったモノ)の鋼の素材からその長さ、スポンジをそのままカットするのではなく、圧縮した状態でカットする工程や、カットする位置の違いによる微妙な厚みの変化など、やわらかい材料ならではの細かな工夫や特性を聞くにつけ、金属加工前提で物事を考えてしまう我々の、頭の体操になった気がします。



後半は新たに導入された、最新のNC工作機械を見学させていただきました。
形状(側面)のカットだけでなく、溝の加工(つまり切り抜くのではなく、深さの概念のある加工)が出来るのが、これまでの抜き加工だけの時との最大の違いと、加工の実演を交えて教えていただきましたが、我々も普段使うエンドミル(刃物の一種)でウレタンが削られていく様子には、軽いカルチャーショックを覚えました^^




この新たな機械で、これまでの衝撃保護材としての使われ方だけでなく、
例えば舞台用の兜の内側の部分や、子供用のおもちゃなど、新たなジャンルの商品を多数提案しているそうです。
今回案内していただいた、代表取締役の佐藤様の、「これまでの職人集団としての会社ではなく、イマジネーション・創造の会社にならなくてはいけない」という言葉がとても印象に残りました。




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次に訪問しましたのは、足立区東和にあります、アクリル製作の会社、(有)三幸 様です。
はじめに案内していただいた工場隣接の店舗では、小分け販売しているアクリルが多数展示されていて、その綺麗さに目を奪われました。



代表取締役の小沢様からは、「インクジェットで表面印刷されたアクリルも手がけているが、素材そのものに着色したアクリルを製造できるのが、当社の強みです」と、説明をいただきました。
販売されているアクリルの中には、和紙や布を閉じ込めたものもあり、これらアクリル製品は主に、アパレル向けのクセサリーや、コンサートグッズなどとして使われているとのことでした。
また最近は、シェア工房(時間貸しの工場)などでアクセサリーを製造・販売されている個人の方も多く、そちらの需要も伸びているとのことです。



案内していただいた倉庫には、これまでメーカーから注文いただいたアクリルの色板が多数保管されていて、圧巻でした。
そのどれもが違う柄、違う色をしていて、似ている物でも微妙に色が違い、同じものは2つと無いのだそうです。




そんなアクリルのオリジナル性は、偶然性に左右される着色の技法によるところも大きく、店舗には素材・実用としてのアクリルだけでなく、作家さんによって製作された美しい色のグラデーションのついた、もはやアートと呼べる作品や、アクリルを切り合わせて作られたポップでcoolな作品も多数展示され、個人からアパレル、そしてアーティストにまで、幅広くアクリルが使用されている例を見ることが出来ました。



そんなアクリル製造の現場も、いまではかつてのような技術を持った職人さんが年々少なくなり、その再現が難しくなりつつあるようです。
たとえば壁に多数展示してあったコテ(熱を加えてアクリルを挟み、変形させるための物)も、その微妙なRを製作してくれる職人さんがもういないらしく、今後どのように対応しようか模索中とのことでした。



新しい用途・顧客への対応と、自身の強み(アクリルの着色)技術の維持。
その両方を同時に進めていく会社の強さを感じる訪問でした。



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最後3社目に訪問しましたのは、同じく足立区の江北にあります、(株)安心堂 様です。



はじめに、シルクスクリーン印刷とパッド印刷の違いについて説明していただき、そのなかでも現在会社の看板商品である、「なんでもくん」による、パッド印刷の実演を見させていただきました。
ちなみにパッド印刷の「パッド」とは、シリコンゴムのことで、版(文字や模様が薄く凸凹になっている)の上にインクをのせ、それをパッド(シリコンゴム)で写し取り、それを最終的な製品に押す、という手法の印刷です。
卓上手動式パッド印刷機「なんでもくん」は、曲面・凸凹面、どんなサーフェースにも簡単に印刷ができ、写真に有るようなお米(スマートフォンで拡大しているのがそれです!)にすら、微小な文字を印刷できる優れものです。




またその機構が、我々ものつくり職人の琴線にふれるもので^^、使われているパーツそのものは何の変哲もない物でも、「ここでハンドルが止まる・次の動作をすると同時にインクを均すプレートが動く」など、ミリ単位で考えられた「からくり」のような機構がそこかしこに施してあり、さすが足立区のものつくりレジェンドと呼ばれる社長さん(今回は都合によりお会いできませんでしたが)だなあ、と皆で関心していました。



そしてもうひとつ興味深いのは、この技術を、自社でのみ使用して印刷まで請け負うのではなく、システムを誰でも使えるように安価・簡便にして、広く会社から個人まで印刷の楽しさ・便利さを知っていただくという、会社の方針です。
頂いたパンフレットには「諦めずに挑戦し続ける姿勢。他には真似の出来ないアナログ技術。人との繋がりを大切にする心。これが我が社の特色です。・・・」とありました。
「なんでもくん」のシステムが、この哲学を雄弁に物語っていますし、この「自分が作った物が多くの人に喜ばれる」という関係こそ、職人の究極の幸せかなと、思わずにはいられませんでした。






コーディネートしてくださった藤井様はじめ、お忙しい中工場を見学させていただいた、
(有)サトウ化成の佐藤様、(有)三幸の小沢様、(株)安心堂の丸山様、
今回はどうもありがとうございました。

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